§U§


「大丈夫だよ。涼音は可愛いから似合ってるって」

今日から通う新しい学校の新しい制服。
隆くんがそう言ってくれたから、私は安心することができた。
でも人見知りする私にとって、誰も知っている人の
いないところへの転入はとても心細い。
今の私は、隣を歩いてくれる隆くんだけが頼りだ。
隆くんがいなくなったら、私は一人で学校にも行けないだろう。
私は半ば無意識に、隆くんの左手を握っていた。

「……ダメ?」

もしもこの手を振り払われたら、私は泣いてしまったかもしれない。
けれど、

「いいよ、別に」

隆くんはどきりとするような笑顔で、私の手を握り返してくれた。
隆くんの手のひらはとても大きくて、温かかった。


それが、私が隆くんと同じ学校に通い始めた初めての朝。